注目度を増すNY。シリコンバレーから距離を置くIT企業。

グーグル、Facebook、eBayなどの世界的IT企業が、ニューヨークの拠点を拡張しつつある。

IT企業の本場シリコンバレーでは、現在も名だたるIT企業が本社を構えている。
それは、世界のエンジニアたちが、自分の給与面を含め十分に評価される地として、シリコンバレーを目指して集まった歴史があるからだ。

しかし、今その流れに変化の兆しが表れている。
シリコンバレー以外で働こうとするエンジニアが増えつつあるのだ。理由は、以前の記事でもご紹介したが、その生活環境にある。

例えば、シリコンバレーでの1LDKのマンションの相場は、20~30万円。
これは、給与の高いエンジニアでさえ、頭を悩ませる問題となっている。その上、交通インフラが整っておらず、クルマは必須。市内では、渋滞が慢性化しており、これが、仕事の生産性を著しく低下させているのだ。
おまけに物価は驚く程高く、それは年々、酷くなる一方なのだ。

そんな中、代替地として注目を集めている地がニューヨークである。
特に、ミレミアム世代のエンジニアは、渋滞の酷いシリコンバレーより、地下鉄などの交通機関が発達したニューヨークを好む傾向が高まっているのだ。

米国一の人口を誇るニューヨークでは、金融、ファッション、メディア、エンターテインメントと言った産業が集積している。その為、新しいサービスの実証実験や大企業との協業を考える上で魅力的な地となっている。

また、世界中から人が集まり、新しい芸術・ファッション・食事・音楽など、様々な流行を生み出すニューヨークの生活環境は、エンジニアにとって魅力的な存在と言えるのだ。

ニューヨーク市にとっても、これらの新興企業を誘致する事は、多くの雇用を生み出す事で、恩恵は大きい。

昨年、Eコマース大手のAmazonが第2本社の候補地を探していた際も、多くの補助金と優遇処置を与える事で、見事に誘致を成功させた。これにより、新たに2.5万人もの雇用が約束され、その地位を盤石な物とする筈だったのだ。

しかし、ここに来て問題が発生する。

Amazonが第2本社の建設地を再検討すると言う発表を行ったのだ。
理由は、地元議員と住民による反対運動の激化だ。

彼らは、Amazonに与えられる補助金や優遇措置に対し不当だと訴え、また、彼らが進出してくることで、ニューヨークが第2のシリコンバレーになる事を恐れているのだ。

実際、シリコンバレーは急激な人口増加で、物価の急上昇を招き、年収が800万円でも部屋借りれず、クルマで生活するホームレスが多く存在する。
現在、ニューヨークでも同じような傾向が見られ、税収を増やしたい自治体と住民の間には、大きな意見の隔たりが見られるのだ。

現在、多くのIT企業にとって、この問題は深刻性を増している。
彼らにとって、人材確保の視点から見ると、新たな進出地には、ある程度の人口スケールが必要となる。ただ、一方において、彼らの進出は物価を高騰させ、その地から一定割合の人達を弾き出す結果になる。

その事が社会問題化する事で、ブランド価値は棄損され、不利益を被る事も有り得るのだ。
最終的な解決策としては、リモートワークしかないと言える。
つまり、個々人が好きな国、地域に住みネットで繋がりながら仕事をこなして行く事の重要性が増すのだ。
離れて仕事をする事のデメリットは、コミュニケーションが希薄になる事により、生産性が落ちることだが、現在はテクノロジーの発展により、カバーできる範囲が広がっているのも事実である。数十年後には、多くの人達が会社から離れ、好きな場所で仕事をする、そんなことが当たり前の時代になるかもしれない。