イーロン・マスク氏の弟は、食の世界の革命児だった。

現在、テスラやスペースX社のCEOを務める世界的起業家であるイーロン・マスク氏。様々な話題を振りまき賛否両論あると思われるが、時代の変革者としての彼のバイタリティを疑う人は居ないと言えます。

彼については当ブログでも、数回取り上げているが今回は、ちょっと目線を変えて、彼の弟であるキンボール・マスク氏にスポットを当ててみたいと思います。

1972年生まれのキンボール氏は、高校卒業後に兄のイーロンを追いかけカナダに移り住む。そこで大学を卒業した後、兄のイーロンと共にZIP2を創業する。99年に同社をコンパックに3億ドルで売却後、2人はPayPalを立ち上げるのだが、その後2人は別々の道を歩む事になるのだ。

兄のイーロン氏はカルフォルニアに残りテスラの経営に携わるが、弟のキンボール氏は、ニューヨークの移住しフランス料理の専門学校に入学する。
卒業後は、コロラド州で『キッチン・ボールダー』というビストロを立ち上げ、後にザガッドから『米国で最高のレストラン』という称号を受ける。

レストランの成功を続けながらも、彼は自らの理想を実現すべく『食育』に情熱を注ぐ。彼の理想は、『世界に正しい栄養を届ける事』なのだ。

現在、アメリカでは多くの児童が糖尿病を患っている。
これは、ファストフードなどの食生活が原因なのだが低所得層ほど、その傾向が顕著なのだ。それは、ヘルシーフード程高くつくという米国国民の思い込みによるものだと、彼は主張する。

つまり、家族4人でファストフード店で25ドルを費やすなら、家庭では、15ドルでふんだんに野菜を使った料理を食べる事が出来るのだ。

人々に本当の食事を提供する為には、まず農業を変革しなければならない。その為に、彼は子供たちに学校で農業を学ばせ、本当の食べ物とは何かを教える活動に従事しているのだ。

農業と言えば、きつくて休みが無いが儲からない、という負のイメージが付き纏うのは万国共通だ。しかし、彼は、『より地域に即し、需要がある作物を育てる事で、農業はしっかり儲かる職業になる。』と断言している。

実は、最近アメリカでの農業に変化の兆しが見えつつある。
それは、農業人口の増加だ。今まで農業に無関心だった若年層、それも高い教育を受けた人たちが農業に従事するようになって来たのだ。カルフォルニア州などでは、過去10年の増加率は20%に達し、その内69%の新規農業従事者は大学卒だと言うのだ。

彼らが目指す農業とは、既存の産業化されたそれとは真逆な物と言える。
つまり、『小規模』『限られた農薬』『ローカルのみで販売』という質に拘った農業だ。キンボール氏は、自らが推し進めるBig Green運動で、彼らが生計を立てられるようサポートを行っている。

小売りの世界は、大量消費の時代を終え如何に個に寄り添えるか、という時代に入りつつある。その中では、農業さえも変わって行かななければならないのである。量から質の転換が叫ばれ、年々オーガニック食品の需要が高まる中、如何に生産者を育成して行くかという事が、これからの課題と言えるのだ。