米国 vs 中国。両国の覇権争いの行方は…。

ファーウェイ問題に代表される米中貿易摩擦だが、この問題を起点とした世界的な経済指標の停滞が、顕著になってきた。
正直、北米・中国市場をメイン市場として、二兎を追っていた日本企業にとっては、甚だ迷惑な話であるが、両国との距離間に微妙な舵取りを迫られている現実がある。

中国に貿易戦争を仕掛けたトランプ政権が主張する『貿易摩擦の解消』や習近平政権が唱える『開放的な自由貿易制度』などと言う言葉は、両国の覇権争いの隠れ蓑に過ぎない。

まず、大前提として米国は決して他国の覇権を認めない。

且つての米ソ冷戦などは、イデオロギーを隠れ蓑にした両国の覇権争いに過ぎず、過去に於いて、同盟国であった日本にさえも自動車や半導体と言った問題で対立し、IBMスパイ事件のようなドラスティックな対応を行った過去がある

最終的に米国は、為替相場制度を根底から覆し急激な円高を作り出す事で日本の脅威を取り払ったが、これは、ある意味米国は他国の覇権を絶対に許さない、という意思の表れと捉えるべきである。

今回、トランプ政権がファーウェイ製品に対し、何の具体的物証を示さずに市場から占め出したのは、5G次世代通信規格において、国内企業を保護する為である。
そして、中国政府が自由貿易を声高に唱えるのは、中国製プラットフォームや規格の普及による市場支配を狙っているからに他ならない。

まず、日本はこの事を認識する必要がある。

個人的には、まだ両国は様子を伺っている状態だと思っている。
だから、米国も自国では無くカナダにファーウェイの後継者を逮捕させたし、中国も、米国人では無くカナダ人を逮捕している。その意味で、この問題は、まだ序章の段階だと言えるのだ。

彼らがお互いに様子見に徹しているのは、両国の経済関係での依存度が高過ぎるという点にある。
アメリカは既に製造業が衰退し、物を作れなくなっているし、一方において中国は、アメリカからの仕事が無いと経済が立ち行かない。そして、何より互いが最大の『市場』となっているのだ。

この関係性が、辛うじて米ソ冷戦のような破滅的争いを阻止している。
ただ、これが永遠に続くと言う保証は無い。何故なら、何度も言うが米国は他国の覇権を決して許さないからだ。

ただ一方に於いて、米中の対立が深まる事は日本の地政学上の重要性を高める事になる。
その間を絶妙な距離感を保ちながら、如何に利益を最大化するかと言う視点が必要になって来るのだ。

米中、それに欧州まで、現在は政治的混迷の中にある。
その中で、唯一比較的政治的安定を保っているのが日本だ。その意味で、今こそが日本の政治的プレゼンスを拡大する最大の好機と言える。政治的調停役としての日本の意義を、今こそ発揮する時だと言えるのだ。