保釈の判断も人工知能で !? 治安維持にAIが用いられる米国社会。

現在、米国では犯罪抑止を中心に様々な場所で人工知能が活用されている。

例えば、地域住民の人口構成や逮捕歴と言ったデータから、犯罪が起こりそうな場所を予測したり、保釈や仮釈放の際のリスク判定、それに実際の刑罰の判断にも人工知能が活用される場合がある。

この保釈申請の判断を行う人工知能のアルゴリズムでは、犯罪歴や前科以外にも、生まれた地域や家族構成、性別に人種など様々な要因から、答えが導き出される。

問題は、これらの判断過程がブラックボックス化され、人間には理解出来ない事にある。その上、自分個人ではどうしようもない要因、つまり人種や性別、生まれ育った環境から一般的な傾向が割り出され、自分に当てはめられてしまうのだ。

人工知能から導かれる答えは、あくまで統計的な可能性に過ぎない。
当然データ量が増えると、その答えに収束する筈であるが、ある特定の個人として見た場合、その答えが必ずしも当てはまるとは限らないのだ。

これは、かなり悩ましい問題だ。
例えば、黒人と白人の犯罪率を比較した場合、相対的に所得の低く、差別を受けやすい黒人の方が犯罪率が高くなる傾向にある。これを数字というデータで見た場合『事実』とも捉える事が出来るが、ある1人の個人とした見た場合は、明らかに『偏見』となってしまうのだ。

一方に於いて、限られた予算と人員で最大の成果を得ようとした場合、この確率と言う合理性を無視する事は難しい。特に、犯罪の予防的見地からすると、大きな武器に成り得るのだ。

米国では学校などで多発する集団発砲事件を予防する為に、生徒のSNSやメールデータを人工知能での分析を始めている。それにより、いじめや鬱病、自殺願望などを持った生徒の割り出す民間企業サービスが存在するのだ。
同様の事は、テロや犯罪組織にも使用されており、犯罪を未然に防ぐことに貢献していると言える。

人工知能の画像解析技術と数億台の監視カメラを組み合わせ、最新鋭の監視システムを構築したのが中国の『天網』だ。このシステムは、全国に張り巡らした監視カメラにより、手配犯を、僅か数秒で探し出してしまう。
そして、それと同様のシステムが米国でも使用されようとしている。そして、その事は監視社会の到来を意味するのだ。

経済合理性と人間性、この問題は、この2つの要素を問われている。
仮に人間の倫理観が崩壊し、自らで安全が確保出来ないのであれば、それはプライバシーや人間性を犠牲にしなければならない、という事だ。

その意味で、これからの時代に最も問われるべきものは、教育や宗教と言った人間の内面に関わる要素だと言える。どんな時代が到来するかは、私達自身に掛かっているのだ。