ウォルマートが好決算。食品EC注力でAmazonを追撃。

米小売大手ウォルマートの第4四半期決算は、年末商戦の好調から10年ぶりの高い伸びを示した。売上高自体も、アナリストの予想を大きく上回る4.2%の増加を記録し、その中でもひと際目立ったのが食品を中心としたネット通販で、43%の伸びを記録したのだ。

ウォルマートの持つ最大の強みは、全米に4700店舗を誇る巨大店舗網だ。
これは、全米の人口の約9割を半径10マイル(16㎞)圏に捉えている。

Eコマースに於ける最重要ポイントは『流通』だと言われる中、このアドバンテージだけは、Amazonが逆立ちしても敵わない。確かにAmazonは一部地域では、即日配達サービスを行っているが、食品を扱うには、コールドーチェーン(冷蔵倉庫・冷蔵車etc)の整備が不可欠なのだ。

米国Eコマース市場全体を見た時に、Amazonの市場シェアは49%と、もう少しで半分を占拠しようとしている。一方においてウォルマートは、僅か3.7%だ。

この数字だけ見ると、ウォルマートは恐れるに足りない存在と言えるのだが、実際は違う。それは、食品EC市場でのシェアが、ECシェア全体に大きな影響を与える可能性を秘めているからだ。

そもそも食品とEコマースの親和性は低い。
なぜなら、食品は鮮度や傷み具合など実際の目で見て、触って判断する事が求められるからだ。その為、Amazonもホールフーズの買収やAmazonフレッシュサービスなどを取り入れ注力するが、なかなかその牙城を崩せない。リアル店舗が強すぎるのだ。

しかし、一方に於いて食品の日々の買い物は利用者にとっては苦痛で、出来れば楽をしたいと言う気持ちが強く、非常に巨大な市場を内包しているのだ。
実際に、『買い物代行業』のインスタカートドアダッシュなどが人気サービスとなっており、Amazonは十分に需要に応えられていないと言えるのだ。

人間は、一番利用するサイトにロイヤリティを感じる傾向にある。
その為、頻繁に利用する食品ECサイトでは、様々な『ついで買い』が期待出来る。つまりAmazonにとって食品EC市場を押さえられる事は、その市場規模以上の脅威となるのだ。

・ウォルマートの戦略。

ウォルマートの戦略は、既存の店舗網を利用したオムニチャンネルの導入だ。
つまり、ネットで注文を行って、店舗で商品を受け取る方式だ。
ウォルマートは、その為の施設を全国の店舗に続々と導入し始めている。彼らが持つ武器は2つ、カーブサイド・ピックアップとピックアップ・タワーだ。

・ピックアップ・タワー

ピックアップ・タワーとは、利用者が予めネット注文しておいた商品を店員がピックアップし、それを冷蔵設備の付いたピックアップタワーに保管しておいてくれる。
利用者は、好きな時間威店舗を訪問しスマホに送られてくるQRコードを機械に通すと、商品が自動で出てきて受け取れる仕組みだ。

また、これをさらに進化させたものとして、店外に専用の冷蔵倉庫を持つ店舗も存在する。ピックアップ・タワーの欠点は、店舗の営業時間内でしか商品が受け取れないという事だが、この方式だと24時間好きな時間に商品を受け取る事が出来るのだ。

・カーブサイド・ピックアップ

カーブサイド・ピックアップは、全米の食品スーパーに急拡大しているシステムだ。

方法は簡単で、利用者は予めネット注文しておいた商品を店員がピックアップしてくれる点は、ピックアップ・タワーと同じだが、準備が出来次第メールで通知してくれるので、後は店の駐車場の所定の位置にクルマを停めるだけだ。

すると店員がスマホのGPS装置からクルマの位置を割り出し、トランクや助手席に注文した商品を入れてくれる。つまり、クルマから降りること無く買い物が終わってしまう訳だ。
こう言うと、ずいぶん無精なシステムのように思えるが、米国では1週間分の食料をまとめ買いするのが一般的で、尚且つ1つ1つの商品が巨大な為、買い物は思った以上に重労働なのだ。

このように、ウォルマートは様々な手法を駆使してAmazonを猛追している。
成長の鈍化が見え始めたAmazonの3.5倍のスピードで成長しているのだ。

そして、昨年ウォルマートは新たな一手を打ってきた。それは、インドのEコマース市場の首位の座にあるフリップカートの買収だ。
これに関しては、以前の記事に書いたので詳細は割愛するが、中国の巨人であるアリババを交えて三つ巴の戦いが始まろうとしているのだ。
世界の3強が初めて直接対決するインド市場は、その成長性は勿論、将来の世界的EC市場の覇権を占う物と言えるのだ。