ファーウェイ包囲網に綻び!? 英・独に続きカナダも離脱か?

次世代通信規格5Gから、中国のファーウェイを排除しようとするトランプ政権ですが、同国の最重要同盟国である英国が、事実上の容認宣言を行った事で、両国の関係に歪みが生まれている。また、ドイツも追随する動きを見せており、戦後一貫して協力体制にあった両国の関係性に、不安な影が立ち込めた形になる。

トランプ政権は、2018年に可決した『国防権限法』により、ファーウェイを始めとする中国通信5社の製品に関して、政府機関への導入を禁止する事を決定した。
同様の事を、同盟国に関しても適応して行きたい考えで、日本政府は米国の意向を捉え、携帯大手3社に対して事実上のファーウェイ製品の排除を要望している。

今回、英国・ドイツと言う欧州主要国の反対と同様に、トランプ政権の頭を悩ませているのが、お隣カナダの意向だ。 

実は、カナダのトルドー政権もこの問題に対し判断を決めかねている。
それは、前政権が2012年に中国との間で締結した投資協定の存在があるからだ。

この協定は、中国・カナダ企業が、双方の国に進出する場合には、同国企業と同じ待遇を約束する事を求めている。万が一、条約の効力を制限するような政策が行われた場合、中国は賠償を求めて特別仲裁人に訴える事が出来る。
ここでは、カナダの国内法は適応されない為、実質的にはカナダの裁判所を介さず、仲裁人による審査で判決が決まってしまうのだ。

この協定は、15年間破棄でない取り決めが成されており、仮に破棄した場合でも、既に進出している企業に関しては、その後15年間は条約の効力が続く、と明記されている。

カナダという国は、日本でも余りニュースに登場する事なく、常に米国と追随しているような印象を持つが、両国の関係にも最近変化が表れている。

事の発端は、昨年カナダで行われたサミットでの出来事だ。
保護主義を提唱する米国と、WTOのルールの遵守という立場で対立した米国とEUであるが、トランプ氏は、カナダだけは自身に味方してくれると信じていた。
しかし、議長国だったカナダのトルドー首相は、会議後の記者会見で米国がカナダに対して、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を適用した事を強く批判したのだ。

これに対し、トランプ氏が激怒。
Twitterで、『トルドー首相は会議では従順だったのに、私が去った後に、「米国の関税は侮辱的。カナダは決して、米国には振り回されない。」と語った。不誠実で弱虫だ。』と投稿したのだ。この一国の首相に対しての侮辱的発言が問題視され、両国の関係に歪みをもたらしているのだ。

今回、トルドー政権のファーウェイ問題での決定次第では、両国の関係はが急激に冷え込む可能性を秘めている。
そうなった場合、米国は明らかに孤立し、その影響力が弱体化することになる。
ただ、米国国民は明らかに内向化しており、次期大統領選挙では国際問題が政策の焦点になり難い状況に陥っている。つまり、米国がいくら孤立化してもトランプ氏が再選を勝ち取る可能性は否定出来ないのだ。

既にファーウェイ問題は、ある意味『踏み絵』のような役割を果たしつつある。
廻りから反対されると更に意固地になるトランプ氏の性格と、唯一のスーパーパワーを自認するアメリカ国民のプライドは、決して中国の台頭を許さない。

そうなると、我が国日本も否応なく巻き込まれてしまうのだ。

正直、北米と中国市場で”上手くやっていた”日本企業にとって両国の争いは、迷惑としか言えない。ただ、米国・EU・中国と、それぞれの情勢が不安定化しつつある中、日本としても静観する訳には行かないのだ。しかも、業界首位のファーウェイの製品を使用せずに、5Gの整備が可能なのか、という事さえ未知数と言えるのだ。

米国が国際社会で孤立する中、米国としては比較的関係性の良い日本に擦り寄ってくることが予想される一方、中国は、その関係性に歪みを打ち込み、米国を孤立させたいと考えるのは当然だ。そうなった場合、日本の発言力が相対的に増す事は必然であり、その状況を最大限に活用しながら自身のプレゼンスを上げていく必要がある。

日本が進むべき方向性を考える上で、重要になって来るのが、この先どの国が世界の覇権を握るのか、と言う問題だ。
それは、アメリカ?中国?、それとも、それ以外の第三国か?

最近の動きを見る限り、米国は確実に弱体化しつつある。
それは、中産階級の崩壊により国内市場が収縮している為だ。
そして、何より今回のファーウェイ問題に見えるように、米国の発言力は確実に低下している。

それでは、中国か?
これに関して、可能性は秘めているが政治体制に大きなリスクを抱えている事は無視出来ない。対応を誤れば、且つてのソ連邦と同じような道を辿る事は否定出来ないのだ。
ただ、一方に於いて中国人は驚く程合理的な精神を持ち合わせている。つまり、現在の豊かさを犠牲にしてまで『ちゃぶ台をひっくり返す』ような動きをする可能性は低いと思うのが個人的な意見だ。

その為、如何に平和的に多党制に移行出来るかが、中国最大の課題だ。

あと、確実に言える事はインドを含めた東南アジア諸国の台頭だ。
この莫大な人口を抱える国々が、次の時代の成長市場となる事は、ほぼ一致した意見だと言える。
日本は、如何にこの地域の国々と共闘出来るかを模索する必要がある。

に危惧しないといけない点は、将来的な中国とインドの関係だ。
この両国が順調に発展した場合、両国の摩擦は増える一方だ。米ソ、米中の摩擦問題と決定的に違う点は、両国が地理的に隣接している点にある。仮に両国で軍事的な争いが起こった場合、アジア市場の可能性自体を吹き飛ばす可能性すらあるのだ。

混沌さが増す世界情勢の中、日本が果たすべき役割は増しつつある。資源を持たない日本にとって、周辺諸国の平和と自由貿易は生命線だ。これらを維持すべく、如何に影響力を行使出来るか、今は、したたかさが要求される局面と言えるのだ。