年間30億ドルを売り上げるUberは、なぜ黒字化出来ないのか?


物やサービスの売り手と買い手を繋いで、手数料を取る。

この両者が、素早く、そして強力に繋がる事でビジネスが成立する。

Uberが繋げたのは、タクシーの乗客と運転者だ。
彼らが路上で出くわす、という運に頼らず互いを見つけられるようにした事で、一躍世界中でライドシェア・ブームを巻き起こしたのだ。

営業許可書を与え、その台数を管理する従来のタクシー制度では、運賃が高く、大雨や深夜と言った時には、なかなか捕まらない厄介な乗り物だった。それは、都市の人口は増加しているのに、タクシーの数は変わらない為だ。

そこで、Uberは一般のドライバーを活用する事を思いつく。同じ方向に行く人間を、乗せて運べばガソリン代も助かるし、利用者は直ぐにクルマを見つける事が出来る。

その為、Uberのネットワークの最重要課題は運転手の確保にある。
それにより、車を拾うまでの時間を短縮し、走行している運転手を増やし、そして、料金を安くする。その事で、誰もが気楽に使える町のインフラにする必要があるのだ。

このような事情からUberの最大の運用コストは運転手だ。

Uberは、運転手に対しして社員では無く、独立した契約者として労働の対価を支払う。Uber側は、クルマを所有せず、契約者が自家用車を持ち込む。彼らは、需要と供給を調整して、手数料だけを取るのだ。

この一見、効率的に見えるビジネスモデルであるが、結局は高くつく。
Uberの業績が今も赤字なのは有名な話だが、30億ドルもの売り上げを確保しながらも、10億ドル以上の赤字を計上しているのだ。

その理由は、以下の通りだ。

・絶え間ない事業拡大。

Uberは、ライドシェアの世界制覇を目指し、世界中に進出している。
その度に、事業の立ち上げやロビー活動に莫大な資金を必要とするのだ。

現在、Uberが事業を展開する都市は600都市にも及ぶ。
特に、ロシア、東南アジアや中国への進出は高くついた、それは、地場のライドシェア業者が足場を固め、対抗してきたからだ。

例えば、ロンドンの『ウーバーイーツ』チームは、並居るライバル達に対抗する為には30分以内の配達が必要だと判断した。その戦略は効果を上げたが、結局1年後には、不公正な競争慣習や運転手の安全を確保出来ていない点に批判が集まり、翌年の営業免許を更新できなかった。

また、中国ではUberにとって非常に厳しい結果に終わった。
それは、地元業者である滴々出行が立ち向かってきたからだ。結局Uberは、滴々出行の株式17.7%の株式と交換する事で、中国から撤退する。

東南アジアでも、地域最大手のグラブが20億ドルを調達し、顧客と運転手に対し猛烈な投資を始めた事で、Uberは駆逐される事になる。

・ライドシェアのコモディティ化。

既に世界中のあらゆる土地に、地場のライドシェア業者は存在する。
また、登録ドライバー自身も複数社のライドシェアに登録する事が多く、差別化が難しい。その為、広告宣伝費や割引などで対抗する必要がある。

・運転手の離職。

Uberでは、月に13%のドライバーが離職してしまう。その為、毎月新たに45万人を採用して行く必要があるのだ。

事業開始当初は、ドライバー登録を行うと2000ドルのボーナスが貰え、数回乗客を乗せると5000ドルが支給された。

現在では紹介ボーナスは廃止されたが、新規運転手の求人広告と奨励金、それに運転手の自動車ローンに毎期数億ドルを使っている。18年4-6期だけで、運転手への奨励金と雑費で4億2700万ドル、広告費は1億4200万ドル、販促費は7億3400億ドルにも上った。

・Uberの利益配分。

Uberの平均運賃は距離と時間に基づく固定費と、乗車場所や時間、乗客の属性などの変動費で構成される。
合計運賃の75~80%が運転手、残りがUberに入る仕組みだ。

このように、ライドシェア事業は運転手の確保に多大なコストを掛けている事が分かる。次々と登場するライバルに対抗する為には、湯水のように資金を投入しなければならないのだ。
だが、Uberが他のライバルたちと比べて有利な点は、その規模にある。このビジネスでは『価格』が大きな意味を持つ為、それには規模が重要なのだ。

規模が大きくなると、ドライバーを維持する為に仕事量が必要だ。
近年では、『ウーバーイーツ』や宅配事業まで進出し、ドライバーは顧客を待つ『すき間時間』を利用して、これらの仕事をこなす事が出来る。このような点が、ドライバーを自社のエコシステムに留まらす事で他社との差別化になっているのだ。

既に上場が決まったUberであるが、このビジネスモデルが市場から、どう評価を受けるかが非常に興味深いと言える。

ただ1つ確実に言える事は。Uberからドライバーが意無くなる時、つまり自動運転によるライドシェア事業が始まった時には、かなりの高利益体質になるという事だ。その時まで、如何に事業を継続するか、その事が何よりも重要なのである。