テンセント vs バイトダンス。激しさを増す両者の争い。

中国では、アリババとテンセントの力は絶大だ。

有力なスタートアップ企業には、必ずどちらかの資金が入っているとさえ言われており、両者の出資が得られるかどうかが、事業の成否を分けると言っても過言では無いのだ。

特にアプリ業界では、テンセントが抜きに出ている。
同社は、『Wechat』というメッセージアプリを軸に事業を拡大しており、その中に、ミニプログラムを有している。

ミニプログラムとは、PCで言うフォルダのようなイメージだが、アプリを開けると、その中に様々な用途(電子決済・チャット・店の予約・地図etc)に用いる『子アプリ』とも言える機能が付いている。
このシステムの長所は、利用者は1つのアプリさえダウンロードすれば、用が足り、面倒な登録作業なども1回の入力で纏めて出来てしまう。事業者側からすれば、競合をスマホ上から排除出来てしまうのだ。

その為、アプリ開発企業にとっては、この『Wechat』のミニプログラムに採用されるかどうかは死活問題と言える。このような状況が、テンセントのプレゼンスを上げ続けてきたのだ。

そんなテンセントに対して、真向から争いを仕掛けて来た企業が現れた。それが、バイトダンス社だ。

同社は、中国初のグローバル・アプリ『 Tik Tok 』や、ニュースアプリの『今日頭条』で急成長している企業だ。

『Tik Tok』の中国版である『ドゥイン』は、元々は『Wechat』のミニプログラムだった。しかし、その人気が高まる事に危機を覚えたテンセントが、『ドゥイン』をミニプログラムから外してしまったのだ。
それ以来、両者は様々な訴訟で対立し、批判の応酬を繰り広げている。

この王者テンセントさえ恐れを抱くバイトダンス社の強みは、AIを使用した強力なレコメント機能だ。

通常、このような動画アプリは、おすすめ動画などをユーザー毎にレコメントして提案する。バイトダンスの同機能は、それが秀逸なのだ。
また、動画も指でスワイプするだけで、次の動画に進める為に、サクサクと飽きずに見てられる点も素晴らしい。

バイトダンス社は、中国でも数少ないアリババ・テンセントどちらの資金も受け入れていないユニコーン企業だったが、このテンセントとの争いを切っ掛けにして、一部アリババの資金を受け入れるようになった。

その他にも、ソフトバンクGの出資も受け入れており、その企業価値は、既に2.2兆円にも達している。

このショート動画の流行は、Wechatにプレッシャーを与えている。
直近の調査では、余暇時間の使用に関し、ショート動画が伸びる一方で、Wechatは減少に転じたのだ。

テンセントは、これに対抗する為に自らもショート動画アプリ市場に参入すると共に、バウトダンスのアプリから自社の広告を引き上げるなど対抗策を取っているが、今回、バイトダンス社が逆にSNS市場に参入を果たし、対向色を強めている。

泥沼化する両者の争いであるが、最近のテンセントは不運続きだ。
特に、政府による『ゲーム規制』は同社の収益に確実な影響を与えており、中国偏重のテンセントには死活問題と言える。

グローバル化を目指すバイトダンスと、多角化を進めるテンセント。両社の争いは、業界地図を書き換える可能性すら秘めているのです