中国EC最大手のアリババが遂に米国市場へ参入。果たして勝算は?

中国Eコマース業界最大手であるアリババが、米国の事務用品小売り大手であるホーム・デポと提携し、米国市場に参入する事になりました。

この提携により、両社は共同で新しいマーケットプレースである『オフィス・デポ・オン・アリババ・ドットコム』を立ち上げ、そこでは、アリババが提携する15000社以上のグローバルネットワークから商品・サービスを購入する事が出来るようになる。

物流面に於いては、オフィス・デポが保有するフルフィルメントを、そのまま使用し、米国で自社の物流システムを持たないアリババをサポートする体制となる。

遂にアリババがAmazonのテリトリーである米国に歩を進めた。
既に中国で成功を収めている同社にとって、今回の米国リテーラーとの提携は、まさに初の取り組みとなるのだ。

彼らが、長年米国進出を躊躇っていたのはAmazonの存在に他ならない。
既に米国EC市場の半分を掌握するAmazonと、真正面から戦う事は当然、数々の困難を予想させる為だ。

ただ、この出来事は単なる序章に過ぎない。
なぜなら、Amazon・アリババ双方にとって自国での市場は、既に飽和しつつあるからだ。その為、両社は積極的な海外進出を進めている。

そんな彼らの主戦場になるのは、インドを始めとしたアジア諸国だ。
それは中国の例を見るまでも無く、商業インフラの未整備な途上国ほど、莫大な伸びしろと成長力を秘めていると言える。

・両社の戦略の違い。


同じくマーケットプレースを運営する両社であるが、採用する戦略には明確な違いが存在する。

・Alibaba

ジャックマー氏が設立したEコマース企業。特にBtoBのECでは世界トップシェアを持つ。

・収入源

・出店料・成約料。
出店会員→マーケティングサービス

・サイト内の広告。

・Amazon

ジェフ・ベゾス氏が設立したEコマース企業。現在、世界14か国で事業展開。

・収入源

・直販事業
→自社ブランド品の販売。
・サイト内の広告
・出店料・成約料が収入源。

両社のビジネス・モデルの最大の違いは、自社での直販の有無だ。

具体的には、アリババが提供するのは『売り場』のみで、Amazonのように自社ブランドの販売は行わない。

・出品店が抱えるジレンマ。

Amazonの顧客第一主義は有名だ。
しかし、一方に於いて出品店にとっては、必ずしもそうとは言えない。

Amazonに出店する店舗には、共通した不満が存在する。それは、顧客情報の喪失だ。
Amazonは、顧客情報を出品店に開示しない。その為、出品店は消費者の属性や住所・氏名などの基本的な情報さえ得られないのだ。この事は、マーケティングに於いて致命的だ。それは、消費者との遮断を意味するからだ。

そして、さらに厄介な事にAmazonは、そこから得られるビックデータを解析して自社ブランドを作ってしまう。
出品店にとっては、情報が筒抜けな為、気付けば同商品のAmazonブランドが自社より安い価格で販売されている、という事になるのだ。味方だと思っていたAmazonが、突如として商売敵になってしまう事で、実際に破綻に追い込まれた企業も多い。

そんなジレンマを抱えながらも、企業がAmazonから離れられないのは、彼らの持つ販売力が原因だ。最早、多くの企業にとって、Amazonを利用しないと言う選択肢自体が無くなりつつあるのだ。

一方、アリババのビジネスモデルは、日本の楽天型と言える。
つまり、出品店の商品が売れないと、自分も儲からないシステムだ。
その為、彼らは出品店に対しマーケティングに必要な情報を積極的に開示している。

ただ、アリババにとってAmazonより友好なプラットフォームを構築するだけでは足りない事は明らかだ。多くの利用者は、既にAmazonを使い慣れており不満を持つ人間は少ない。

そんな中で、アリババにとって有利な点は『価格』だ。
Amazonで商品を売る事は、発注から物流、そして料金の回収まで全てAmazonが行ってくれる為、非常に楽だ。しかし、そのコストは決して安く無いのだ。当然だが、その費用は商品価格に転嫁される為、どうしても薄利多売となる。

また、Amazonはサブスクリプション・モデルを採用している為、利用者にとっても年間費が必要だ。その額は年々増加傾向にあり、現在は119ドルと決して安くは無い。その為、一旦Amazonからアリババに利用者が移行してしまうと、引き戻すのは容易ではない。

今回、アリババが敢えてBtoBに焦点を当てて参入してきたことは、賢明な判断だ。それは情緒的な個人に対して、企業は明確な損得で動く為だ。

ただ、その事を踏まえてもアリババにとって厳しい戦いになる事は避けられない。此処は、何と言っても彼らのホームであり、彼らが長年掛かって築き上げてきた強力な物流システムが存在する為だ。

一方、Amazonにとって不利な点は、出品店との信頼関係が希薄な点だ。
アリババは、この『突破口』を如何に有効に攻めれるか、事業の成否は、そこに掛かっているような気がするのである。