Facebookは、なぜこんなにも世界中から叩かれるのか?

今や世界最大級のSNSへと成長したFacebook。

しかし、度重なる事件により創業者であるザッカーバーグ氏は、批判の矢面に立たされている。その事件とは、8700万人分にも及ぶ個人情報流出と、フェイクニュースへの対応の甘さに関してであるが、そのことが事件の本質を現わしているとは言えない。問題の根は予想以上に深いと言えるのだ。

月間ユーザー22億人、1日のユーザー12億人と、フェーズブックは、世界の人口の1/3が利用する巨大SNSへと成長した。そこで、根源的な問い掛けとして、『果たしてフェースブックは、プラットフォームなのか、メディアなのか?』という問題が存在する。

そもそもフェースブックは、創業者であるザッカーバーグ氏が通っていた、ハーバード大学内でのコミュニケーション・ツールとして生まれた。その後、その他の有名大学に広がり、全世界にブレイクする事になる

当時は、そんなフェイスブックが大統領選挙の結果を左右する結果になろうとは、誰一人として考えなかったのだ。人々を繋ぐコミュニケーションのプラットフォームとして、ザッカーバーグ氏が生み出したフェースブックは、皮肉な事に社会を分断する存在になってしまった。

・フェースブックを巧みに利用したトランプ陣営。

2016年夏、トランプ陣営はネット選挙において、ヒラリーとの闘いで劣勢を強いられていた。当時ヒラリ陣営は、グーグルの持ち株会社のアルファベット会長であるシュミット氏を始め、様々なエリート達からアドバイスを受けていた。

一方、トランプ陣営のアドバイザーは、トランプ財団のホームページを作ったバースケール氏で、ソーシャルメディアの責任者に関しては、トランプ氏のゴルフの元キャディという有様だったのだ。しかし、そんな彼らが目を付けたのがフェースブックだったのだ。

SNSを使用する方なら分かると思うが、この手のメディアに必要なのは『パンチ力』だ。急激な拡散を狙うなら『炎上』するような過激な言動が効果的なのだ。
この点に於いて、ヒラリー陣営は明確に劣っていた。
エリート達は、理路整然とした言葉で正論に訴えるが、トランプ陣営は、『感情』に訴える戦略に出たのだ。この際に用いられたのが、所謂、フェイクニュースだ。

その内容は、且つてローマ法王がトランプ氏を支持していた事がある、という物や、ヒラリーがファーストレディー時代に、秘密裏にテロ集団ISISに武器を売り渡していた、はたまた、クリント氏のメール流出問題で、容疑者だったFBI捜査官が、遺体で発見されたなど、根も葉もない噂ばかりだったのだ。このような書き込みが支持を得るようになると、広告収入を目当てとしたフェイクニュースが、続々と書き込まれるようになり、やがて本物のニュースより、多くの支持を得るまでになってしまったのだ。

フェースブックというプラットフォームが、悪用されているのは明らかだった。その事を、多くの関係者が認めながらも、この多くの”ゴミ”のようなニュースが、フェースブックに人を誘導してくれているのは明らかで、それは、同社の成長と収益に大きく寄与した事が、対応の遅れを招いた原因だったのだ。

その上、フェースブックがこの問題に対処すると、大統領選以外に関してのフェイクニュースにも手を付けずには居られなくなる。それは、同社にとっては、どうしようもない面倒を背負いこむ事になる事を意味していた。

・個人情報が、莫大な富を生み出す時代に…。

GAFAに代表される巨大IT企業は、2000年以降に急成長を遂げた。

どの企業も事業拡大と収益の向上のために多くの個人情報を収集し始めたのだ。これらの企業は、ユーザーを追跡し、その情報を行動予測に利用している。つまり、ユーザーの位置情報や健康情報、金融情報から利益を生み出す術を手に入れたのだ。

そして、多くの場合において、これらの情報はユーザーの許可なく収集されている。
フェースブックの場合、自社のサービスのユーザー以外の情報も収集している。
これは、フェイスブックの『いいね』ボタンが設置されているサイトを訪れると、閲覧に使用したパソコンやスマホの閲覧履歴が、自動的にフェースブックのサーバーに送られる仕組みが、装備されていたのだ。

このように、一連の問題の本質はフェースブックではない事が分かる。

つまりは、多くのIT企業が無断でユーザー情報を収集し、その所有権を主張すると共に、広告などに2次利用している事への、倫理的責任が問題となっているのだ。

それで生活が便利になるなら良いだろう、そう思う方も多いと思うが、問題はユーザー側に選択する権利が存在しない事にある。世界的に電子決済が進行する中、GPSの位置情報やネットでの検索・購買情報を組み合わせる事で、年齢・性別・趣向・家族構成など様々な情報が、丸裸になってしまう。この事は、それらの情報を基にユーザーを誘導する事も可能にしてしまう可能性が高い。

個人情報を財産と捉えるなら、当然それを保護する法律は必要だ。それは、EUが制定したGDPRの日本版とも言えるイメージだと言えるが、一方に於いて、中国などプライバシー意識の低い国々との競争の場に於いては、それは確実に不利に働く。結局は、便利さとプライバシーの間の、どの位置に線を引くかと言う議論が必要だと言えるのだ。