EUと米国の亀裂が決定的に…。独がファーウェイ製品の受入れか?


ドイツ政府は、5Gネットワークからファーウェイの製品を排除しない方針を固めた事が分かった。
これは、独ネットワーク庁の責任者が、英フィナンシャル・タイムズの取材で明らかにしたもので、これによりドイツは、仮にファーウェイ製品を使用した場合、安全保障上の情報を一切共有しない、という米国の脅しに対し明確な拒否を表明した事になる。

また、EUの指導的役割を果たすドイツとの亀裂は、NATO体制の終焉を意味し、今後EUは『欧州軍』創設に向けて、その動きを加速させるものと思われる。

『ドイツは、5Gネットワーク整備にあたり、ファーウェイを含む、いかなる企業も排除しない。』

今回、ドイツ政府高官のこの発言は、改めて米国とEUの亀裂を露わにした。
この事で、フランスを含む他のEU諸国も、これに追随する可能性が高く、その導入に対し、唯一明確な反対を示している英国との間にも、更なる不協和音をもたらす事になる。

ここ数年、世界は信じられないようなスピードで変化している。
具体的には、トランプ氏に代表される右翼勢力の急激な台頭と、世界の分断だ。
こんな事は、10年前には予想だにしなかった。米国とEUは、それほど強固な絆で結ばれていた筈だったのだ。

トランプ氏の登場は、明らかに世界を変えた。
謂わば、『パンドラの箱』を開けてしまったのだ。
世界は、第2次大戦のナチスの愚行から人種的排他主義に対し、タブーとも言える道徳基準を強いてきた。その為、戦後ネオナチやKKKと言った団体が登場するも、人々は決してその事を許さなかったのだ。

しかし、トランプ氏の登場は、その空気を一変させてしまった。
一国の大統領、それも超大国アメリカの大統領自らが、過激な右翼思想を口にする事で、そのハードルを大きく下げてしまったのだ。この事は、社会の断絶を生み、瞬く間に世界中に波及してしまったのだ。

自国第一主義を掲げるトランプ氏とEUとの亀裂を決定的にした出来事は、米国がロシアとの間で締結していた、IMF条約(中距離核戦力全廃条約)を一方的に破棄した事だ。しかも、これに対しEUとの間で何の協議も無かったばかりか、事後報告で済ましてしまった。

本来この条約は、当時のソ連邦から欧州諸国を守る為に制定されたものだった。その国家安全保障の根幹を成す条約を、トランプ氏は、何の相談も無く破棄してしまったのだ。

この事が切っ掛けとなり、EUは、米国に依存しない『欧州軍』の設立に舵を切る事になる。今回のドイツの動きは、この延長線上に有るものと言えるのだ。

それとは逆に、EUでのプレゼンスを高めているのが中国の存在だ。
習近平の掲げる『一帯一路政策』は、今回のイタリアとの合意を見るまでも無く、着実な成果を生み出しつつある。現在のところ、フランスのマクロン大統領と、ドイツのメエイルがルケル首相が、その動きを阻止すべく奮闘しているが、既に引退が決まっているメルケル氏と、『黄色いベスト運動』でそれどころでは無いマクロン氏では、少々心許ないのも確かだと言える。

・問題の核心は、歪んだ資本主義体制にある。

アメリカの移民排斥運動に代表される、世界的な右翼思想の高まりや、イギリスの『黄色いベスト運動』やブレグジット問題。これらの問題の共通した原因は、政治・教育・福祉と言った機会の平等を維持する為の最低限の権利に対し、行き過ぎた資本の原理が働いてしまっている点にある。

結果、GAFAに代表される巨大企業は、まともに税金を払う事無く、貧富の差が、個人の努力だけでは崩せないレベルにまで広がってしまった。それは、大企業がロビー活動を通じて、社会のルール自体を変えてしまった事に起因している。

このような貧困層の不満を、巧みに扇動したのがトランプ氏だ。
不満の捌け口にされるのは、ナチスドイツがユダヤ人にしたように、何時の時代も弱い人達だ。
相手が強過ぎると、そもそも『捌け口』には成り得ないのだ。トランプ氏が設定した『捌け口』は、つまりは移民達だった。

現在、中国を含む先進国で拡がりつつある、中産階級の消滅は、世界的な不安要素だと言える。長い歴史の中に於いて、国民の不満に対し外部に敵を作る事によって解消してきた事実は明らかだからだ。

現在世界は、確実に分断の方向にある。
第2次大戦後、民主主義国家間の戦争は存在しないと言われているが、SNSやフェイクニュースが氾濫するこの時代では、人々はいとも簡単に扇動されてしまう。
謂わば、非常に危険な時代と言えるのだ。

米国は建国以来、優秀な外部の血を入れ続ける事で繁栄を果たしてきた。
しかし今、その流れは変わり、米国の弱体化が顕在化してきたとも言える。
この先の数十年は、世界秩序が大きく変化する時代になる事は間違いない。各国が独自の路線を取る中、日本は、その方向性を決めかねていると言える。私には、未来を見通す眼は無いが、只々、今までの道を何も考えずに進むような日本の姿勢に、一抹の不安を感じるのも確かだ。世界は劇的に変化する、その事を常に頭に置いて、行動する必要があると言えるのだ。