ウォルマートが1.2兆円を掛けて店舗刷新。オムニチャンネル促進へ。


米国小売り大手のウォルマートが、総額1.2兆円にも及ぶ旧来店舗の大規模刷新を行う事を発表した。これにより同社は、既存店500店舗のオムニチャネルへの最適化を計画している。

今回の大規模な店舗改修で、同社が強化するのは以下の2点だ。

・店舗業務の自動化・効率化

AmazonなどのEコマースとの競争が激しくなっていく中、既存の小売業は、ネットと違わぬ利便性と、リアル店舗ならではの価値を顧客にアピールする必要がある。そのような環境で求められるのが、人員の最適配置だ。つまり、人間はサービスに専念し、それ以外の業務は出来る限り自動化する事が求められている。

今回ウォルマートは、その為に自動清掃ロボット1500台・陳列棚の在庫確認ロボット300台・トラックから荷下ろしされた商品をスキャンして分類するロボット1200台の導入を進める。

・ウォルマートの陳列棚管理ロボット
自動で店内を練り歩き、商品の在庫量・価格・商品の配置間違いなどをチェックする。

・ウォルマートの床清掃ロボット

・ウォルマートの入庫分類ロボット

・オムニチャネル化を促進

オンラインとオフラインの垣根を無くす為に、店舗内でオンライン注文が出来る設備や、ネットで注文した商品を店内で受け取れるピックアップ・タワーなど合わせて900台の導入を計画している。

ピックアップ・タワー
ネット経由で購入した商品を店舗で受け取る事が出来る。購入時に送られてきたQRコードをかざすと、商品が自動で受け取れる仕組み。

・倉庫型ピックアップ・システム
店外にある為、24時間商品を受け取る事が出来る。冷凍・冷蔵設備も有しており様々な食材に対応。

・Eコマースへの事業拡大を図るウォルマート。

近年のウォルマートの戦略は、新店開発を抑制する一方、Eコマースを含めたIT投資を活発化させている。それにより、都市型消費者を顧客に持つジェット・ドットコムを傘下に収めた他、D2Cブランド8社を買収。小売業でありながら2018年のIT投資額で、Amazon・アルファベットに続く世界第3位となる程、急激な投資を続けてきたのだ。

それ程までに彼らが投資を進めるのは、Amazonの脅威を感じているからだ。

現在、小売業界で進んでいるオムニチャネルの流れは、オンライン、オフラインという区別自体を無くそうとしている。つまり、Amazonに代表されるEコマース業者は、実店舗に進出し、ウォルマートなど実店舗側は、ネットの世界への進出を進めている。

既に中国のアリババ傘下の生鮮スーパー『フーマ・フレッシュ』は、ネット注文後30分での配送を実現している。つまり、時間軸で考えてもオンラインとオフラインの区別は無くなり、2つが融合しつつあるのだ。

小売業の完成形は、このオンラインとオフラインの長所を寄せ集めた形態に他ならない。その実現の為にテクノロジーを活用して行こうとという流れが、世界的に進んでいるのだ。

このようなウォルマートの取り組みは、現在のEコマース有利の状況を一変させる可能性を秘めている。彼らは実店舗に倉庫機能遠保のを持たせる事により、敏速な配送が可能になる。特にウォルマートは、アメリカ全土に4700店もの店舗網を持ち、アメリカ国民の人口の9割が、それら店舗の半径10マイル圏内(16㎞)に居住していると言われており、これだけは、どれだけAmazonが頑張っても容易に真似出来る物では無いのだ。

ウォルマートは、単にAmazonから自らの会社を守ると言う段階から、それを超越した『攻めの姿勢』を明確にしている。事実、現在Eコマースの成長率が世界一であるインド市場に於いて、最大のシェアを持っているのが同社なのである。

既に同社の年間の売上は、日本の税収に匹敵する額を記録しているにも関わらず、Eコマース単体では、Amazonを凌ぐ成長率を示している。
『Amazon脅威論』が囁かれている中、ウォルマートの優位性を崩すのは並大抵の事では無い。そのポテンシャルは、更なる可能性を秘めていると言えるのだ。