中国EC市場の第3勢力『拼多多(ピンドゥドゥ)』驚異の成長力。

年間145兆円とも言われる中国のEコマース市場において、アリババ、京東という上位2社が8割以上のシェアを握る中、脅威の成長力で、彼らの存在をも脅かす存在となりつつあるのが、『拼多多(Pinduoduo)』(以下PDD)だ。

2018年同社は設立後僅か3年と言う短期間で、米国ナスダック市場に上場を果たした。
これは、同市場上場に15年を費やしたアリババを遥かに凌ぐスピードだ。
ECサイトに於いて、最重要の指標であるアクティブ・ユーザー数では、4.2億人を記録し、流通総額は5.5兆円。これは、業界2位の『京東.com』の3.1億人を僅か3年間で抜き去った事を意味している。

アリババ・京東・PDD。
中国EC市場に於いて、3強を成すこれらの企業は、それぞれ異なった性格を持っている。

まず、業界1位の『T-MALL』を運営するアリババの特徴は、自らは物品の販売を行わず、マーケット・プレースの提供と運営に特化している。その為、在庫を持つことが無く、巨大な物流倉庫も必要無い。日本で言うと、『楽天』に似たビジネスモデルだと言える。

一方、業界2位の京東が運営する『JD.com』は謂わば『アマゾン』モデルだ。
アリババと異なり、自社での物品の販売に積極的に取組み、巨大な流通システムを持っている。アリババに比べ、高コスト体質ではあるが、自社で販売する事で、スケールメリットを発揮し易い。つまり、売れれば売れる程、利益率を上げる事が出来るのが特徴だと言える。

これら上位2強が、都市部の富裕層をターゲットにしているのに対し、PDDのターゲットは、地方都市の貧困層だ。

彼らの特徴は、所謂『共同購入』と言う手法だ。
つまり、共同購入者を集めれば集める程、安く購入する事ができ、最大90%OFFまで値段を下げる事が出来る。PDDが従来の共同購入サイトと異なる点は、ただ、共同購入者が増えるのを待つのではなく、自ら不特定多数の人間に商品をアピールし、共同購入者を集める必要があるという点だ。

その為、SNSを通じて商品のレビューを行い、それらが如何に優れた商品だという事をアピールする必要がある。そして、人を惹きつける影響力を持つ人ほど、安く商品を手に入れる事が出来るシステムを取り入れたのだ。

つまり、それぞれがインフルエンサーとなる必要があり、それを重ねて行く事で、次第に自分の影響力が増大して行く事に、単なる買い物を超えた達成感に近い感情を得られる点が、人々を魅了していると言えるのだ。

一方、企業側から見ると非常に優れたシステムと言える。
特に、広告を打つ財政的余裕の無い弱小メーカーにとって、勝手に商品をアピールし、大口の購入を纏めてくれる彼らは、コストの掛からない営業マンに等しいと言える。これにより、今まで問屋に頼っていた販売経路から、『工場直送』という完全に無駄を省いた販売方式が可能になったのだ。

このように、地方都市というブルーオーシャンを手に入れたPDDであるが、取り扱う商品が低価格という事も有り、マネタイズには苦戦している。

同社の顧客一人当たりの年間購入額は、50ドルとなっており、1300ドルを誇るアリババは勿論、500ドルの京東にさえ遠く及ばない。また、低価格の商品が多い為、偽物や低品質の商品も多く、クレーム率では上位2社と比べ突出して高い数値を示しているのだ。

急成長が続く同社であるが、その分問題の発生頻度は、どうしても高まってしまう。
今後の成長のカギとなるのは、収益化と品質管理だと言える。
高成長の続く中国では、消費者も成熟しつつある。『安かろう、悪かろう』では、立ち行かなくなる時代が、すぐそこまで迫っているのだ。

様々な問題を内包しつつも、アリババや京東にとって、同社の成長率は決して無視出来ない存在だと言える。アリババは、既に同様の低価格な共同購入サイトをローンチしており、明確な対決姿勢を示している。飽和しつつある都市部から、地方へと競争の場が変わりつつある、PDDの躍進は、その事を示していると言えるのだ。