『当日配達』実現に、Amazon、ウォルマートなど大手が投資を拡大。

アマゾンが本国米国で、プライム会員向けの当日配達を導入する中、敵対するウォルマートも、2019年末までに1900店舗での当日配送を実現する事を発表した。

一方、中国ではアリババ傘下のECスーパーである『フーマ・フレッシュ』が、注文から30分以内の配達を実現しており、小売業に於いて『当日配達』の導入は、最早、不可避な問題であると言える。つまり、真の『オムニチャネル』の追求には、『時間』の壁の克服が不可欠なのだ。

Eコマースの『ラスト・ワンマイル』問題が囁かれて久しいが、今後の小売業に於いては、この物流が肝となるのは間違いない。米国では既に、このオンデマンドの物流プラットフォームを展開する為に、物流系のスタートアップの買収合戦が繰り広げられている。

且つて、物流の世界では如何に効率的に物を運ぶか、という視点が重要視された。
しかし、今後はそれに加え『早く正確に』という視点が勝負の勝敗を決する事になる。
実は、米国では『配達』に伴う、ある問題がAmazonなどの経営を圧迫しつつある。
それが、『ポーチ・パイレーツ』の存在だ。


ポーチ・パイレーツとは、宅配便泥棒の事を指す。

日本のAmazonも、最近は不在宅の『置き配』を強化しつつあるが、本国米国では、不在宅への置き配が常態化している。その荷物を狙った泥棒が、後を絶たないのだ。

結局、それを恐れた利用者は、ネットでの高額商品の購入を控えてしまう。
また、今後各社の主戦場となる『生鮮EC』市場においては、基本的に置き配は馴染みにくい。特に暑い時期などは、商品が傷んでしまう為だ。


その為、最近では『ラスト・ワンマイル』に変わり、『ラスト・ワンメーター』の問題が顕在化しつつある。つまり、玄関先から宅内への配達だ。

しかし、このシステムの導入には心理的ハードルが大きいと言える。
特に、犯罪率の高い米国では、自分の不在時に他人を家に入れる行為は、抵抗を感じづには居られないからだ。ただ、一方に於いて『早く届けて欲しい』というニーズも確実に存在しており、そうした需要を満たす方策として『 in-home Commerce 』(宅内配達)を如何に実現するかという問題意識は、各社が共通認識として存在していると言える。

この問題に早くから取り組んだのはAmazonだ。
同社は、2017年から『Amazon KEY』を導入している。これは、利用者は予め『 Amazon Key Home Set 』という2万5千円程のキットを購入すれば、後は追加料金無しで利用出来る。このセットは、スマートキーとクラウドカメラで構成されており、利用者が不在時の際、配達員が玄関ドアを解錠して商品を届けてくれる。

対するウォルマートは、今年から不在時に商品を冷蔵庫の中に届けてくれるサービスを展開する。

このサービスを利用するには、Amazon同様ワンタイムの入室を可能にするスマートデバイスを購入する必要があるが、安全を担保するのは配達員が身に着けているウェブカメラだ。利用者は、後から(リアルタイムでも)配達の様子を確認する事が出来る。配達員は、最低地元の店舗に1年以上務めた従業員によって行われる。

また、返品などにも対応しており予め登録しておくと、配達員が冷蔵庫内から返品の商品を取り出し勝手に持ち帰って返金の処理までしてくれる。

このように、物流に関するニーズは、今後一層増大するのは確実だ。
中でも、『当日配達』に関するニーズは非常に高いと言える。現状、日本ではクロネコや佐川急便などの大手は、この分野に参入出来る余裕は無い。慢性的な人不足と、増え続ける荷量への対策に忙殺されている為だ。

ただ、急いで届けて欲しいというニーズは確実に存在しており、ここを満たす業者の存在は非常に少ないと言える。バイク便では対応出来ない荷量に、リアルタイムで対応出来る仕組みが無い為だ。

その意味で、『PICK GO』などのマッチング・アプリなどに代表されるようなツールは、非常に重要性を増す事になる。企業としても、配送員を常に抱えるよりも、必要な時に、必要なだけの人員を確保出来ることは、非常にメリットが高い。現在、成り手が少ないと言われている配送業だが、低予算で開業出来る上、仕事には事欠かない為、非常に興味深い業界であると言えるのだ