ソフトバンクGがビジョン・ファンドのIPOを検討中か !?


ソフトバンクGが、10兆円規模のハイテク投資ファンドである『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』のIPOと、少なくとも同ファンドと同じ規模を持つ別のファンドの立ち上げを検討していると、複数の関係者が明らかにしたと、米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。


孫正義氏は、ビジョンファンドこそがソフトバンクGの成長エンジンだと確信している。

当初は4年間で計画していた10兆円の資金の投資計画は、矢継ぎ早に繰り出すディールにより、僅か2年間で枯渇してしまったようだ。その年間リターンは29%と非常に順調に推移している。

ただ、その順調な結果にも関わらず同ファンドは、第2弾ファンドの資金調達に苦労している模様だ。
その理由は、多くのファンドが後期の新興企業であるユニコーンに直接投資するプログラムを既に確立している為だ。それ故、わざわざ膨大な手数料を支払ってまでビジョンファンドを利用するメリットが無くなりつつある。

さらに第2の理由として、投資家がファンドの透明性とガバナンスに対し不安を感じている点だ。詰まるところ、多くの投資家にとって同ファンドへの投資は、一個人、つまり孫正義氏個人の洞察力への賭けだと考えられている点にある。


このような状況にも関わらず、孫氏の旺盛な買物欲は収まらず、ビジョンファンドに関わる人員も増加の一途を辿っている。そのような従業員の給与を支払う為にも、早期の資金調達は必須だと言える。

一般的に、投資家を募る場合は出来る限り少数の大口客で構成するのが望ましい。それは、複数の口座に対応することで、それに関わるコストが大きくなってしまうからだ。

ただ、一方に於いて現在のビジョンファンドでは、サウジのPIFやアブダビのムバマラ・インベストメントなどの大口の投資家が持つ拒否権により、投資の自由度が制限されているのも事実だ。これにより、孫氏はドアダッシュの出資の遅れや、Weworkの追加出資を諦めざる負えない状況に追い込まれた。


これと同様に、上場する事で投資の自由度が損なわれる可能性もあり、孫氏としては何がベストな方法なのかを見定める必要がありそうだ。

結局のところ、資金の集まりが悪ければ銀行からの借り入れによる自己資金の増額で対応する必要があり、その高過ぎるリスクテイクに異論が増える可能性もある。
その為、次に新設されるファンドでは、一定のリターンをもたらす低リスク部門と、利益が最低限の水準を超えれば、伊ターンを出す高リスク部門の2つに分けるという案が有力のようだ。

実際、同ファンドの投資先の選定では、孫氏が独断で決めてしまう場合も多いと言われている。投資家は孫氏が築いてきた投資実績に魅力を感じながらも、同氏が必要以上の影響力を行使する事を恐れてもいる。孫氏の存在は謂わば『諸刃の剣』だと言えるのだ。


良くも悪くもビジョンファンドは、孫正義氏その物と言える。

自らをスターウォーズのヨーダに例える同氏だが、その驚異的な選定眼の一方、猪突猛進とも言える危うさも持ち合わせているのだ。

ただ、Uberの例を見るまでも無く最近のIPO市場は冷え込みつつある。
そして、ビジョンファンドの弾き出すユニコーン企業への評価額は明らかに過大だと言えるのだ。そのことが投資家に不安感を与えている事は否定出ない。

ビジョンファンドは、良くも悪くも新興企業に対しバブルをもたらした。
それは、同ファンドの影響力の増加を恐れた競合他社が、大幅に資金量を増やしてきたからだ。その事が、新興企業のビジネスモデルの確立を妨げている事は否定できない。彼らは、今は利益を出していなくても、将来的に存続出来るという証明を行う必要があるのだ。

仮にそれを怠ってIPOを迎えた場合、自社を取り巻く環境は大きく変わる必要がある。一度上場をしてしまうと、今までのように10億ドル単位の資金を調達するのは容易では無く、企業価値の毀損を招く可能性が高い。まずは、IPOまでにきちんとしたマネタイズの方法を確立しておく事、その事が何よりも大切だと言えるのだ。