ソフトバンクGがウィーワークの経営権奪取か!?


ソフトバンクGが、シェアオフィス大手のウィワークに対し、金融支援の準備を進めている事が、ウォールストリート・ジャーナルにより報道された。
この支援が実施されれば、既に同社の1/3の株式を保有するソフトバンクGが、新たな新株を得て経営権を握る事になり、相対的に創業者であるアダム・ニューマン氏の影響力は、大きく低下する事になる。

 


創業者のアダム氏にとっては、非常に厳しい決断を迫られているのは否定できない。

深刻な資金難に直面している同社にとっては、選択の余地は限られているのだ。

現在、彼らの選択肢は2つだ。

前述のソフトバンクGからの資金援助を受け入れるか、独自に模索中であるJPモルガン・チェースからの資金調達だ。現在、JPモルガンは、複数の投資家に対し数十億ドルもの資金調達への協議を行っているとされており、その結果が注目されている。
ただ、どちらを選ぶにしろ、同社の資金は12月にも枯渇すると言われており、残された時間は僅かだと言える。


一方、この資金援助はソフトバンクGにとっても大きな決断となる。

そもそも今回のウィワークの騒動は、ソフトバンクGにとって2つのタブーを犯している。
それは、ビジョンファンドの投資に対してソフトバンクG本体が資金的に関与する事と、経営権を奪取すると言う点だ。この事が、今後のビジョンファンドの先行きに大きな影響を与えかねないのだ。

孫正義氏自身が、良く言及するようにビジョンファンドが他のVCと大きく違う点は、経営権を取りに行かない点にある。この事が、過去の投資をスムーズに行う原動力になっていた事は否定できない。

仮にアリババに対し、株式の過半数を出資する事を要請していれば、確実に、この投資は実現しなかった筈だ。起業家にしてみれば、会社を乗っ取られる可能性の有る投資家の資金を受け入れる事は、自殺行為とも言えるのだ。孫氏は、今まで多数のユニコーン企業に対し、薄く広く投資を行う事で、起業家が投資を受け入れるハードルを下げていたとも言えるのだ。


今回、敢えて孫氏がこのルールを破ったのは、ウィワークのIPOの失敗が、ビジョンファンド第2弾の資金集めに大きな影響を与え兼ねない、という危機感の表れだと言える。

既にウィワークに対し1兆円を超える資金を投入している同社にとって、このタイミングでの撤退は、影響が大き過ぎる。ただ、仮に今回の援助が実現するとなると、新たに数千億円の資金が新たに投入されることになる。これはソフトバンクGにとっても、決して簡単な金額では無いと言える。

今回、ウィーワークの問題ばかりクローズアップされるが、実はビジョンファンドが出資している多くのユニコーン企業が同様の問題を抱えている。特に同社が重点投資しているライドシェア業界では、多くの企業が年間数千億円もの莫大な赤字を計上し続けているのだ。


様々な問題を抱えるビジョンファンドであるが、ウィーワークへの投資を無事イグジット出来るかどうかが、今後の同ファンドの試金石となるのは間違いない。

ただ、IPOバブルが終焉する中、今までのように莫大な赤字を垂れ流しながら、現金を燃やし突き進むという手法は、市場の理解を得られにくくなる事は確実だ。

現状と掛け離れ、過剰に膨れ上がり続けた企業価値は、今回の問題で現実が露呈してしまった。
だからと言って、私はビジョンファンド自体を否定するつもりはない。孫氏が唱える理念や方向性は、非常に納得性の高い物であり、目指すところは間違っていない。

ただ、同社が与える莫大な投資資金は、起業家からマネタイズの意識を麻痺させる弊害をもたらしたのも事実だと言える。設立数年のベンチャー企業が、いきなり数千億円もの資金を突如与えられれば、金銭感覚がおかしくなるのは当然だ。

『金は出すが、口は出さない。』
ビジョンファンドは、この方針を永らく貫いてきた。
しかし、今回の潮目の変化は、同ファンドの方針を大きく変えてしまうかもしれない。
米中の貿易戦争が激化し、世界的な経済の停滞が囁かれる中、投資先企業を如何に黒字化させていくか、孫正義氏にとって微妙な舵取りが求められる事は、間違いないと言える。